ワークライフバランスの実現へ

● 看護師の生活の質の向上のために

看護師の退職や休職が相次ぐ中、貴重な人材の確保のために、「看護師が働き続けられる職場の環境改善と質の向上」が急務とされています。実生活の充実を保証し、支援していくことで「職場の満足度」を高め、看護師全体の質の向上も目指すことができます。
このような考え方を「ワークライフバランス」の実現といいます。病院や日本看護師協会等、ワークライフバランスを推進していくための取り組みが各地で行われています。

● 仕事が忙しく実生活を犠牲にしてしまう

看護師は、「患者が第一」とされ、実生活でどのような困難があり、子育てや介護等、女として母親としての立場を優先することは許されていませんでした。そのため、看護師の実生活では、「子供やパートナーに寂しい思いをさせてすまない」という思いを抱えながら勤務している人も数多くいます。
理解があるパートナーであれば良いのですが、仕事に熱心になるあまり、実生活の方の役割が十分にできなかったことで、家庭の中での幸せを逃した人もいます。子供の病気の時についていてあげられないそういった子育てを十分にできない苦しみも抱えながら勤務しているお母さんもいます。
「家族とともにいる幸せ」「パートナーとの生活の充実」など、看護師として働きながら女性・母親としての生活の充実も図るには、どのようなことに気をつけていけば良いのでしょうか。

● 多様な勤務形態の働き方を整備する

これまで看護師は、夜勤・交代勤務など、不規則な生活リズムの中で働くことが当たり前とされてきました。けれども、「子育てが重要な時期」あるいは、「パートナーとの生活を充実させる時期」「スキルアップのための研修を充実させる時期」「親の介護に専念する時期」など、様々な仕事以外でもやらなければならない重要な時期があります。

人生の女としての役割との両立をさせていくためには、「365日・24時間交替勤務」を続けることが困難になります。真面目な方は、ほかの人に迷惑をかけてはいけないと「退職・転職」する方もいます。せっかく育てたその職場でのキャリアがとぎれてしまうことになり、看護師にとっても、病院などの職場にとっても豊かな経験を持った看護師を失うのですから大損失になります。

「結婚・出産・育児・キャリアップ・介護……」そういった人生の転機には、それぞれのライフスタイルにあった「多様な働き方」を雇う側で整備していうことで、「退職・転職しなくとも働いていける環境」を整えることができます。
看護師の多様な勤務形態を用意し、それぞれの看護師が女性として生活の充実を保証することで「退職・転職の危機」を乗り越えることができます。また、人生が充実していれば、患者さんの看護の質の向上にもつながります。
看護師一人一人の生活を十分に保証して初めて病院全体の質の向上へとつながっていきます。そのような「WinWinの関係」、協力し支援していくことによって互いに利益を得、満足する結果を手に入れることができる関係を整えていくことが大切なのです。

● 多様な働き方の例

【働く時間の長さが選べる】
・短時間性職員
フルタイムよりも労働時間が短い勤務
「一日5時間勤務」等一日単位の時間が決まっている働き方
「週5日勤務」等、週の中の勤務日数を少なめにする働き方

・変形労働時間
労基法の範囲を超えない程度で、一日の時間を長くとり、勤務日数を減らす働き方
「一日10時間勤務、週4日労働」等

・ワークシェア
複数の人が一人分の勤務時間を分け合って働くこと

【働く時間帯・曜日が選べる】

・複数の勤務時間帯から希望のものを選ぶ
・フレックスタイムを導入
一ヶ月間の労働時間枠をあらかじめ定め、その枠内での勤務なら「始業時間・就業時間」を働く人が自ら決めることができる制度
朝の勤務時間帯を「早朝」にして、終了時刻を早める働き方
遅めの出勤時間にして、終了時刻を遅らせる働き方  など

【交代制が選べる】

・同じ病棟内でも、2交代製にするか3交代制にするかを自分で選択できる
・夜勤をする時間帯の選択
・夜勤の回数の選択
・日勤のみ・夜勤のみ・交代勤務制の選択などができる

【働く場所が選べる】
・勤務地限定制度

【業務にバリエーションがある】
・病院に勤務しながら、学校や院外で講義や技術演習を担当する
・病院に勤務しながら「専門看護師」として地域や役所など、対外的な活動を行う

【常勤・非常勤が選べる】
・雇用形態や勤務形態の変更を状況に応じて「本人が」選ぶことができる

★ 看護師のワークライフバランス推進事業(雇用形態の例あり)
⇒ http://www.nurse.or.jp/kakuho/pc/various/summary/index.html

自分のライフステージにあった働き方を選んでいくことで、「転職・休職」をしなくても、家庭と仕事のバランスをとることができます。ママさん看護師も2~3人でともに労働時間をシェアすることで、互いに助け合いながらパートタイムを実現することができます。このような柔軟な働き方をすることで、働き過ぎによる看護師の「もえつき」や「うつ病」等のメンタルヘルス不全に陥ってしまうことを防ぐこともできます。

● 実態把握のために

看護師のワークライフバランスの環境を整えるためには、まず現在働いている看護師の実態把握をする必要があります。職場によって年若い独身者の多い病院もあれば、子育て真っ最中のママさんナース、あるいはキャリア組が多い仕事場もあるでしょう。それぞれの職場の年齢層の違いや家庭の事情、本人の願いによって「適切な処置」をしなければ逆効果になってしまいます。
自分の病院や施設の現状を把握するためには、「看護師のワークライフバランスインデックス調査」を行います。
この調査は「どのような支援・環境を整えるための指針」となります。また、個人のワークライフバランスの達成状況も把握することができるようになっています。

★「ワークライフバランスインデックス調査とは」
⇒ http://www.nurse.or.jp/kakuho/pc/various/wlbindex/index.html

● 支援情報

以下のWebサイトで「仕事と育児の両立」「子育てや介護、スキルアップのための助成金事業」、支援団体などの紹介をしています。ぜひご一読願います。

⇒ http://www.nurse.or.jp/kakuho/pc/various/wlb/index.html

患者さんは、薬や手術だけでなく、看護師の温かい笑顔や添えられた手のひらからも回復する力をもらっています。「看護師の笑顔が輝く」こともまた、患者にとっては得がたい「病に打ち勝つ力」をわき起こす良薬となります。
「医療崩壊」を食い止めるために、まずは看護師の笑顔を守ることが最も効果的で最も必要な「経営戦略」となるでしょう。
日夜患者さんのために働く看護師さんの、明日がより輝きますように。

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★看護師のワークライフバランスの実現
⇒ http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/shuroanzen/wlb/

★看護師のワークライフバランス推進事業
「看護師のワークライフバランス推進ワークショップ」事業
⇒ http://www.nurse.or.jp/kakuho/pc/various/workshop/index.html