● 夜勤など労働条件の改善のために
看護師には「夜勤」がつきものです。けれども、問題は「夜勤の回数と時間」が適切に守られているかということにあります。夜勤の回数が増えてくると、体内リズムが狂いだし、健康を維持することが難しくなってきます。
看護師が次々とやめてしまう現状を食い止めるために、どのような労働条件の改善をしていけばよいのでしょうか。この事態を地方自治体でも「看護崩壊の危機」としてとらえ、看護師の労働条件改善のための議案書を提出するなどの動きがありました。それを受けて国も動き出し始めています。
● 看護師不足の解消のために
現在、病院では慢性的な看護師不足のために、一人ひとりの負担が多くなっています。働く条件が次第に悪くなり、一人休職者が出ても人員の補充がされず、さらに休職・退職者を増やしてしまうという悪循環に陥ってしまっているところもあります。
結婚・出産・に対する補償やケアを行き届かせることにより、ママさん看護師が働きやすい条件を整え、夜勤などの勤務のつらさを軽減する工夫をする。退職者が復職しやすいようにメンタル面やケア、リワークプログラムを工夫するといった、「休職・退職しても復職しやすいしくみ」をつくっていくことも必要です。
☆看護師不足の現状と対策
⇒http://www.itineroute.com/
● 2交代制勤務
人員削減のために3交代制から2交代制に変わる病院が増えています。一度に16時間ぶっ通しで勤務するという過酷な条件の中働かされている看護師もいます。
現在では、2交代制や3交代制の他に、「一斉に人員の交換」をするのではなく、シフトをさらに細かくして「交換時刻を少しずつずらして人員の必要な時間帯に看護師が多くなるように設定」することも始まっています。また、夜勤や深夜勤の時間を短縮する病院もあります。
看護師一人一人が体を壊さずにずっと続けていける職場環境を作り、労働条件を整えていくことが最も大切です。
● 現在休職・退職者が55万人
現在、看護師の免許を持ちながら就業していない人は、なんと55万人もいます。
現在離職している理由は、本人の健康問題、人間関係、育児・介護などが主な理由です。また、現在働いている看護師のうち、「つらくてやめたくなるときがある」と常に考えたり時々考えたりする人が80%を超えています。
つまり、「看護師が働きやすく負担が軽くなる労働条件」を整備することで、現在休職している55万人もの待機看護師が再び看護師として働いてくれる可能性が高まって来ることでしょう。
現在つらさを抱えながら働いている看護師たちのためにも、大胆な「労働条件の整備・環境の改善」が看護師不足の解消のために最も効果的な手段となるでしょう。
● 自治体の動きで国も
多くの地方自治体で「国の責任において看護師など夜勤・交代制労働者、医療介護従事者の大幅増員に関して緊急に改善を推し進める必要がある」として、議案書を提出しています。
全国的に起き始めている看護崩壊・介護崩壊を食い止めるために、一刻も早い人員増と看護師の勤務体制改善策が求められています。
これらの動きを受けて、国も動き出しています。
「看護職場の労働条件改善」のための「5局長通知」が出されました。つまり、世論が国を動かし厚生労働から各都道府県知事、各県労働局長、日本看護協会長と改善のための動きが広がっています。
● 労働条件改善のために
現場の改善と法律できちんとした規制を設けることが最も必要です。自治労連での提唱は以下の3点です。
① 三交代夜勤は、生循環で、連続回数を短く、通算の回数を少なくすること。そして、勤務と勤務のインターバルを開けること。
② 夜勤回数はせめて8回を限度とするべきです。さらに人事院が示した月8回の考え方は、月の労働日が24日であった「当時の3/1の日数」であるため、現在の20日の労働日数から考慮すれば6日にするべきである。
③ 労働基準法で定められている「一日8時間労働」があたかも「一回の労働が8時間」というような、2交代制による「16時間労働」は労基法違反であり規制対象と考えるべき。
さらに労働時間管理者の明確化、雇用制度、保育施設、職場風土の改善などを推し進めています。詳細は以下の自治労連のリーフレットをご覧ください。
☆看護師が働き続けられる職場づくり (リーフレット)
⇒ http://www.jichiroren.jp/modules/mydownloads/index.php?page=singlefile&cid=26&lid=168
● 安全基準
日本看護協会では、看護師の健康と生活のリスクを軽減させ、また患者の医療安全のためにも「看護職の夜勤・交替制勤務について一定の規則を設ける必要がある」と考えています。
日本看護師協会の夜勤労働改善に関する取り組み
⇒ http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/shuroanzen/jikan/02_03.html
● 諸外国の安全基準
『ポワソネのヘルスワーカー6原則』(2000)
・夜勤はできるだけ少ないほうがよい。できない場合は、交代周期(シフトの一巡)は長期より短期のほうがよい
・長時間に渡る勤務(9~12時間)は、業務負担(仕事の性質や量)が適切である場合のみ検討が可能であり、かつ、その際は疲労の蓄積や有害物質への暴露は最小にすべきである
・朝の始業開始は、早い時間(例:6時)を避ける
十分な勤務間隔時間のない勤務帯での勤務(例:同日の深夜勤⇒準夜勤)は避ける
・連続勤務日数は5日~7日までとする。少なくとも終日オフの2連休の週末連休をいくつか配置すべきである
交代時間の方向は正循環がよい(位相後退、時計周り:日勤→準夜勤→深夜勤)
日本看護協会仮訳(2011年11月30日)
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☆ 看護師の夜勤・交代勤務改善プロジェクト
⇒ http://blog.goo.ne.jp/5union/e/528321d74508d62822b8a6b789e945aa
☆看護師ジョブケア
看護師の労働条件改善を 看護師不足の原因
⇒ http://kangocare.com/fusoku/fusoku-gennin/